カウアイ島の観光スポット

潮吹き岩
Spouting Horn

巨大とかげ、モオの叫び声? 伝説が残る、轟音を立てる潮吹き穴

ハワイ州カウアイ島の潮吹き岩

ポイプ・エリアの西側の海岸にある一見小さな溶岩棚。この岩に空いている空洞から、波によって押し出された海水が勢いよく潮を噴く。ルックアウトにいる者の頭上を超えて、ゴォーという轟音とともに高く吹き上がる潮はなかなかの迫力である。中でもひときわ高く上がった際には「おお~!」という声が思わず上がってしまう。この潮吹き穴が、他所にもある潮吹き穴と違うのは、ただ勢いよく潮を吹き上げるだけではなく、その際に轟音を立てること。人によって、ゴォーとも、ブォーとも、ヒューとも聞こえるこの轟音にはいくつかの伝説があるようだ。

ひとつは、この地域の海岸線を守っていた巨大なメスとかげ、モオのお話。モオはこの辺りの海辺に釣りなどで訪れて来る人を餌食にしていた。ある時、釣りに来たリコという男がモオの攻撃を受け、槍を投げたところ、その槍がモオのノドに刺さり、怒り狂ったモオはリコを溶岩棚の中まで追いかけた。リコは運良くその中から出られたものの、空洞にはまったモオは出られなくなったという。飢えと痛みによるモオの泣き叫ぶ声が、潮吹き穴から聞こえて来るのが、この轟音だと言われている。

また、こういう伝説もある。タヒチからやってきた巨大なモオ(ハワイ語でとかげを現す)の兄弟がいて、2匹の妹たちはニイハウ島に住み着き、兄レホはカウアイ島まで泳いできて、プヒ(かつてハワイアンたちは、この地域をプヒと呼んでいたそう)という場所を気に入った。その周辺をウロウロしているうちに空洞にはまって抜けられなくなり、その叫び声が轟音として聞こえるというもの。同じレホと妹たちの伝説でも、妹が死んだという話を聞いたレホが泣きながら歩き回って空洞にはまってしまったという話も。その悲しい叫びが轟音となって、いまも聞こえると言われている。

この潮吹き穴。以前はククイウラ・シープルームと呼ばれる別の空洞の隣でひっそりしていたそうだ。ククイウラ・シープルームから吹き上がる潮柱は、61メートルほどの高さだったと言われており、周囲にあったサトウキビ畑を水浸しにしていたのだそうだ。1920年に迷惑をこうむっていたサトウキビ会社の従業員がその穴にダイナマイトを仕掛け、この穴を爆破したそうだ。その穴は、現在の潮吹き穴の左側に位置し、いまも長方形の開口部が見えている。

潮吹き穴を見おろす形でルックアウトが設置されているが、中にはさらにダイナミックさを感じたいと、立ち入り禁止のサインを無視して溶岩棚まで降りていく人もたくさんいる。しかし、スリルを味わいたいがために潮吹き穴に近づいて、空洞に流し込まれてしまうという悲しい事故が後を絶たない。理由があってのルールには従い、危険なマネはしないことが肝心だ。

Column旅のワンポイントガイド

余談だが、常に高く潮が吹き上がっているわけではない。2分ほど見て「That’s it ?」(これだけ?)などと言いながら帰っていくアメリカン・ツーリストを見る。高く潮が吹き上がるまで、少し辛抱して待つ必要ありだ。

Information

地図 MAP
住所 Lawai Rd. Koloa HI 96756