カウアイ島の観光スポット

ナ・パリ・コースト
Na pali Coast

ハワイを代表する壮大なスケールの自然景観

カウアイ島 ナパリコースト

カウアイ島の北西部に位置するナ・パリ・コーストは、ハワイを代表する絶景のひとつ。北海岸のケエ・ビーチ(Ke’e Beach)から西海岸のポリハレ・ビーチ(Polihale Beach)に渡って約26キロメートルの断崖が続く壮大な海岸線だ。崖の最高標高地点は実に1,200メートルにもおよぶ。「Pali(パリ)」はハワイ語で断崖を意味しているように、海岸線には刃物のように切り立った崖が幾重にも連なる。その断崖の間を湧き水が幾筋もの滝となって海へと流れ落ちる様は「ガーデンアイランド」を敬称するにふさわしい完璧な景観だ。ナ・パリ・コーストは何百万年もの間、山から流れる滝や打ち寄せる高波、この地域特有の風などの侵食を受けて形成された。まさに偉大なる大自然が生んだ造形美と言えるだろう。

ナ・パリ・コーストにある4つの州立公園

ナ・パリ・コーストは4つのエリアに区分され、それぞれ州立公園に指定されている。これらの州立公園では、動植物などの自然環境はもちろん、渓谷に残る貴重なハワイアンの史跡も手厚く保護されている。

  • ナ・パリ・コースト州立公園(Napali Coast State Wilderness Park)
  • ヌアロロ・カイ州立公園(Nualolo Kai State Park)
  • ミロリイ州立公園(Milolii State Park)
  • ポリハレ州立公園(Polihale state park)
Na Pali Coast
海から見るナ・パリ・コーストの渓谷群。

ナ・パリ・コーストの渓谷群

ナ・パリ・コーストには主に7つの渓谷が存在する。それぞれの渓谷は、コケエの山から続く切り立った渓谷に囲まれ、しかも目の前には海が広がっている。その景観はあたかも自然の要塞のようだ。これらの渓谷は、昔ポリネシアからカウアイ島に移住した人々の居住地だった。ナ・パリ・コーストの住民は、山と海で収穫した食物を物資として、ニイハウ島や北海岸の人々と交易も行っていたそうだ。しかし、西洋文化が入ってくると疫病などの影響で村は次第に縮小していった。1920年代には、ナ・パリ・コーストの住民だったハワイアンたちは、カウアイ島内の他のアフプアア(集落)へ移住していった。現在この地に残るのは、タロイモ水田や居住区、神殿などの史跡のみとなっている。なかでも特にナ・パリ・コースト州立公園の中心にあるカララウ渓谷(Kalalau Valley)は、カララウ・トレイル(Kalalau Trail)を歩いてアクセスできる唯一の渓谷として、世界中からトレッキング愛好家が訪れる。

カウアイ島 ナパリコースト

トレッキング愛好家を魅了するカララウ・トレイル

北海岸のケエ・ビーチ(Ke’e Beach)を出発点とするトレイルが「カララウ・トレイル(Kalalau Trail)」。通称「ナ・パリ・コースト・トレイル」と呼ばれている。カララウ渓谷を目指す海岸線に伸びる約18キロメートルの険しい山道が特徴だ。ハワイの熱帯植物が生い茂る山の斜面を歩きながら、ナ・パリ・コーストの海岸線や青く輝く大海原の絶景を堪能できる。もともとは、1860年代にナ・パリ・コーストの渓谷群で収穫したタロ芋や果物、コーヒーなどの農作物を運搬するための輸送路として、また馬での移動手段に利便性を図るための通路として政府が切り開いた貴重な道だったそうだ。その後、州立公園に指定されてからは、観光目的のためのハイキング・トレイルとなった。

カウアイ島 ナパリコースト
カララウ・トレイルの出発点にあたる北海岸のケエ・ビーチ。

カララウ・トレイルの日帰りトレッキングは、片道約3キロメートルのハナカピアイ・ビーチ(Hanakāpī‘ai Beach)までが基本となる。なお、気象状況がよく体力に自信があれば、そこからさらに川沿いに続く片道約3キロメートルのハナカピアイ・ウォーターフォール・トレイル(Hanakapiai waterfalls Trail)にチャレンジしてハナカピアイ滝まで行くことも可能だ。ハイキングのおおよその所要時間は、ケエ・ビーチからハナカピアイ・ビーチまでの往復で3時間から4時間ほど。ハナカピアイ滝までは往復で6時間から8時間の計画が必要になるだろう。

カウアイ島 ナパリコースト
カウアイ島は本格的なトレッキングを求めて来る旅行者も多い。
カウアイ島 ナパリコースト
トレイル入口と案内標識。

ハナカピアイ・ビーチは、夏と冬では景色が大きく様変わりする。夏季にあたる4月頃から10月頃までは白砂がハナカピアイ川の河口まで覆い尽くし美しい砂浜の海岸となる。冬季にあたる10月頃から4月頃までは、波も高く一面は岩場となりハナカピアイ川の水流は直接海へと流れ込む。ハナカピアイの海は、見た目は穏やかな時でも潮の流れが激しいため安易な遊泳は非常に危険だ。またハナカピアイ川は鉄砲水が発生することもあるので、川を渡る際は水かさや流れ、水の色(濁った水の時は鉄砲水の注意信号)に細心の注意を払う必要がある。実は、カウアイ島で最も水難事故の多い場所のひとつがハナカピアイ・ビーチでもある。

カウアイ島 ナパリコースト
山中には危険な場所もあるので十分注意したい。

ハナカピアイ・ビーチから先のエリアは、ハワイ州からキャンプの許可を取得して挑む本格的なトレイルとなる。海岸線のトレイルから7キロメートルほどでハナコア渓谷へと入る。ここから終点のカララウ渓谷までは、さらに沿岸部を8キロメートル近く歩くことになる。そのため、歩くペースによってはハナコア渓谷でキャンプを強いられることもあるようだ。また、ナ・パリ・コーストの天候は変わりやすく、渓流はあっという間に濁流へと姿を変えることも珍しくない。雨水が赤土のトレイルを川のように流れることさえある。かつて、この地に暮らしていたハワイアンたちがそうであったように、常に母なる大自然に耳を傾け、自然が教えてくれる些細なシグナルを見逃さないことがナ・パリ・コーストのトレッキングを楽しむ基本ルールだ。

Column旅のワンポイントガイド

ナ・パリ・コースト関連のアクティビティーにはトレッキングのほか、ナ・パリ・コーストを観光する手段として遊覧船ツアーや遊覧飛行ツアーがある。どちらもカウアイ島では大人気のアクティビティーだ。ほとんどのツアーは、海からの絶景を眺めながらクルーズを楽しむか、もしくはダイナミックにヘリコプターで空からの絶景を眺めるのが一般的。ツアーを主催するアクティビティー会社が、ハワイ州からナ・パリ・コーストへの上陸許可を得ているプログラムの場合は、海のコンディションによってカヤックやボートなら上陸が可能なようだ。

Information

地図 MAP
住所 Na pali Coast Kauai HI