カウアイ島の観光スポット

アラートン・ガーデン
Allerton Garden

ラワイの自然美とアートが融合した独特の景観美が魅力の庭園。

アラートン・ガーデンは、ナショナル・ジオグラフィック・トラベラー誌で「生涯で訪れたい50の場所」の一つに選ばれ、風景デザイン、景観建築の最高傑作として知られている庭園である。

アラートンガーデン
アラートン・ガーデンには様々なガーデニング・アートが大切に管理されている。

1938年、ロバート・アラートンがアレキサンダー・マクブライドからLawai Ka’i(ラワイ・カイ)と呼ばれるラワイ渓谷の一部を買い取り、アラートン・ガーデンが生まれた。アラートンは、シカゴの金融富豪の息子。5年間、ヨーロッパで芸術を学び帰国。アーティストとして成功をすることはなかったものの、風景建築に魅了され、いつか理想の庭園を造りたいという夢を持ち続け、イリノイ州で彫像をメインに配置した庭園造りのプロジェクトを続けていた。その中で採用したスタッフの一人が、イリノイ大学の若手建築家ジョン・グレッグ。のちに養子として父子になるこの2人は、一緒に世界各地を旅して新たなアイデアや影響を受けながら知識を増やしていった。1937年に太平洋の旅からイリノイ州に帰る途上で立ち寄ったのがカウアイ島。2人は訪れたラワイ渓谷の風景に魅了され、海側のラワイ・カイと呼ばれる一帯の土地をマクブライドから購入。翌年にはラワイ・カイへと移住してジョン・グレッグが設計した新しい家に移り住んだ。

2人は移住後すぐに、旅でみつけたエキゾチックな植物とアートを組み合わせた庭園のデザインとレイアウトを開始する。彼らのガーデン建築の特徴は、起伏のある広いジャングルの中に、セクションごとにテーマをつくり、ラワイ・カイの美しさの鍵である水と緑をアート作品と融合させた数々のガーデンルームを配したことだった。それぞれのガーデンルームは、自然の光が絶妙に計算され、自然環境により様々な姿を見せてくれる。それらはリビング・アートと呼ばれ、世界中のセレブ達の疲れた心を癒してきたヒーリング・ガーデンでもあるのだ。

竹を用いたガーデニング
日本では馴染みのある涼しげな竹林エリアも。

ハワイアン文化を象徴する遺跡

アラートン・ガーデンは、庭園としての素晴らしさのみならず、奥深いハワイの歴史的背景を持っている。ラワイ・カイと呼ばれるこのエリアは、古代ハワイアンたちの暮らしたアフプアアと呼ばれる画期的な生活システムが成り立っていた部落であった。特にアラートン・ガーデン内にはその遺跡が多く残っている。また、マクブライドの所有となる前にラワイ渓谷の持ち主であったクイーン・エマ(エマラニ女王)のサマーハウスやエマ女王に縁ある史跡や植物も見ることができる。

アラートンガーデン
アラートン・ガーデンは水と緑がキーワード。

エマ女王とラワイ・カイ

1800年代前半、ラワイ渓谷一帯の美しさに魅了されたのが、カウアイ島を訪れたクイーン・エマ(エマラニ女王)。夫のリホリホ(Liholiho/カメハメハ4世)とともに見たラワイの風景は常に彼女の心に残っていた。その思いは強く、最愛の夫と息子アルバート王子を亡くしたあと、このラワイに一時退去したほどだった。クイーン・エマは、その美しい自然の中で傷心を癒し、一緒に旅をした夫との思い出を回想していたとされている。ラワイ湾に面した一画に「サマー・コテージ」と呼ばれるエマの家が現在もアラートン・ガーデンの中に残されている。1899年、渓谷の所有者がアレキサンダー・マクブライドに変わった当時、渓谷の丘にあったサマー・コテージのひとつを渓谷の底部に移し、彼自身が長年に渡りその家に居住していたと言われている。なお、このサマー・コテージ周辺には、現在もさまざまなカリキュラムでハワイアン・スクールの子供たちが訪れ、ハワイの歴史の一端を学ぶ場所として活用されている。

クイーンエマのサマーハウス
クイーン・エマのサマーハウス。

ハリウッド映画のロケ地

アラートン・ガーデンのあるラワイ・カイは、ハリウッド映画業界からの人気も高く、「パイレーツ・オブ・カリビアン」、「ジュラシック・パーク」をはじめ、これまで多くの映画の中でその景観が紹介されている。特にジュラシック・パークで使われたジャイアント・オーストラリアン・フィグ・ツリーは、多くのメディアで取り上げられ名物ツリーとなっている。

映画ジュラシックパークのロケ地
根の部分が人の背丈よりはるかに大きいジャイアント・オーストラリアン・フィグ・ツリー。

アラートン・ガーデンを巡るツアー

アラートン・ガーデンのあるラワイ・カイは、ジョン亡き後、養子となったジョン・グレッグが継承し、彼の死後はアラートン・ガーデン・トラスト(Allerton Garden Trust)によって継承され、「ナショナル・トロピカル・ボタニカル・ガーデン(NTBG)」がその管理を任されている。現在、アラートン・ガーデンはトラスト(管財人)によって厳しく制限されており、見学するためには、NTBGが催行するツアーを利用する必要がある。入場の手続きは、NTBGのサウスショア・ビジターセンターで行うことができる。ビジターセンターから専用のシャトルバスでラワイ渓谷へと降りて行く道中の景観は圧巻だ。知識の豊富なガイドがガーデンの説明だけではなく、ラワイ・カイの歴史や背景を詳しく解説してくれる。ゆっくり散策しながらの行程は、シャトル移動を含めて約2時間。距離にして2マイル(約3.2キロメートル)ほどだが決して苦にならないだろう。ツアーガイドは、残念ながら英語のみだが見どころ満載なので参加する価値は十分にある。

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Information

地図 MAP
住所 4425 Lawai Beach Road Koloa HI 96756
開園日 年中無休
ツアー 9:00~15:00(1時間毎)/所要時間 約2時間30分
料金目安 大人 $50/子供(6歳~12歳)$25/5歳以下無料
公式HP https://ntbg.org