マーハーウレプー
Mahaulepu

リフエと南海岸を隔てるように東西に連なるハウプ連山の頂から海岸線へ広がる一帯がmāhāʻulepū（マーハーウレプー）と呼ばれるエリアだ。マーハーウレプーの総面積は、山から海にかけて約636ヘクタールと言われている。まるでハウプ連山の勇壮な壁に見守られているかのような大地。白っぽい石灰岩で形成された独特な形状の海岸線と青い海。ポイプ・リゾート群をほんの少し東に行くだけで、辺りは神々しい景観へと様変わりする。海岸線の中程には、三日月型のビーチで有名な通称マーハーウレプー・ビーチと呼ばれるカワイロア・ベイ（Kawailoa Bay）がある。週末になると釣りやピクニックを楽しむ人々が集い、ローカルの憩いの場として知られている。

マーハーウレプーは、ハワイアンの大切な遺産として、地元の人々の保護活動で手厚く守られている場所である。マーハーウレプーの起源は、アフプアア制度にさかのぼる。マーハーウレプーでのアフプアアのシステムによる古代ハワイアンたちの暮らしが、どのようなものであったかの記録はあまり残されていないようだ。しかし、南海岸にある4つの大きなヘイアウのひとつに挙げられるマーハーウレプー内の「ワイ・オ・ピリ・ヘイアウ」や、ポイプベイゴルフコースの中にある漁業にまつわる「ホオウルイア・ヘイアウ」、史跡「マカベヒ洞窟」などからも、このエリアがハワイアンにとって重要な場所であったことがうかがえる。また、カワイロア・ベイの西側にあるギリン・ビーチ（Gillin’s Beach）には、数年に一度の大波によって砂が大きく動いた時だけ姿を表す無数の象形文字群が、砂に守られるように眠っているそうだ。

ハワイアンにとっての砂丘地帯は亡骸を埋葬する墓地として使用されることが多かった。この風習はハワイの全ての島において言えるのだが、マーハーウレプーも例外ではない。特にこの辺りは、1300年代にハワイアンによる大きな戦があった場所だ。今でも戦士たちが砂の下に眠っていると伝えられており、マーハーウレプーの名前の由来は、この1300年代に起きた陸海での激しい戦いに起因しているとも言われている。

マーハーウレプーの名前の由来

その昔、ハワイ島にカラウヌイオフアというアリイ(王)がいたそうだ。カラウヌイオフアは、ハワイ諸島の島々を統治しようと権勢を振るっていた。すでに、オアフ、マウイ、モロカイを支配下に置いていたが、それらの島の王を人質としてカウアイに戦いを挑んできた。そのことを察した当時のカウアイ島の王であったクーコナは、兵士を峠に、カヌー隊をハナぺぺ湾に潜ませ、カラウヌイオフアの軍勢を待ち受けた。上陸したカラウヌイオフアは、峠に武装したクーコナを見つけて一目散に向かったが、すでにクーコナの姿はなかった。どういうわけか、次いで隣の峠にクーコナの姿が。追跡するも土地勘のあるクーコナには追いつけず、ついには内陸奥深くまで入り込み、あえなくクーコナ軍に捕らえられてしまった。また、マーハーウレプーの海岸線では、カラウヌイオフア軍がハナぺぺ湾から攻め立てたクーコナ軍のカヌー隊に後ろを突かれて激しい戦いとなり、両者とも多くの兵士が犠牲になった。マーハーウレプーは英語で「and falling together」の意味だが、まさに敵味方なく多くの兵士がこの場所で倒れたと伝えられている。以来、戦士たちの亡骸は、マーハーウレプーの砂の下に手厚く埋葬されたと信じられている。

マーハーウレプーに限らずハワイ諸島では、政府機関の調査によって墓地として確認された場所が数多くある。それらの場所には「Hawaiian Burial Site(ハワイアン埋葬地区)」と記された立札が設置されている。もし、ハワイアン埋葬地区に訪れることがあれば、この地に暮らしたハワイアンの魂に敬意を払わなければならない。ハワイでは、美しいと思われる場所や景色が、ハワイアンにとってはそれ以上の深い意味を持っていることが多い。

マーハーウレプーへの行き方

マーハーウレプーへは、主に2つの行き方がある。1つ目は、ポイプ・リゾートから車で行く方法。グランド・ハイアット・リゾート（Grand Hyatt Kauai Resort）を右手に見ながら、ポイプ・ロード（Poipu Road）をそのまま真っ直ぐ舗装されていない農道へと進む。つきあたりのT字路を右に進むとカワイロア・ベイ（Kawailoa Bay）にたどり着くことができる。農道は、私有地のため途中にゲートが配置されているが、午後6時までは一般に開放されているので許可を取る必要はないようだ。かなりのデコボコ道なのでレンタカーを利用する際は注意しよう。一般的なレンタカーは、基本的に舗装道以外の場所での使用は禁止されているので自己責任のもと理解が必要だ。

2つ目は、グランド・ハイアット・リゾート（Grand Hyatt Kauai Resort）前のケオネロア・ビーチ（Keoneloa Beach）から海岸線を歩く「マーハーウレプー・トレイル」をトレッキングする方法だ。マーハーウレプー・トレイルからの景色をのんびり楽しみながら、遺跡を散策しよう。火山岩や石灰岩の鋭利な足場もあるので、厚底のトレッキングシューズを履いて行くことをおすすめしたい。日焼け止めはもちろん十分な水やスナックも携帯しておこう。

update 04/04/2018 © KAUAI100%