カウアイ島の観光スポット

ワイアレアレ山
Mt. Waialeale

神秘に満ちた美しさを持つ、カウアイ島でもっとも高い聖なる山。

ハワイ州カウアイ島のワイアレアレ山

カウアイ島の中央にそびえる、島でもっとも高い標高(5,148フィート/約1570メートル)を持つのがワイアレアレ山(Mt. Waialeale)。山の山頂部分は、世界有数の降雨量で知られている。この山頂に降る(大量の)雨が恵みとなり、島に圧倒的な緑を与え、カウアイ島が「ガーデン・アイランド」と呼ばれる由縁のひとつになっている。

何百年もの時間をかけて浸食を繰り返してきた山肌が神々しさを創り出し、「世界で最も美しい山」の一つとして山岳愛好家に愛されている。山全体を緑が覆い、独特のシェイプと、優しさ険しさを同時に持つ。聖なる山、神秘なる山として、カウアイ島を代表する島の中央火山である。

ワイアレアレは、年間を通じて山頂付近には雲がかかっている場合が多く、その全貌を見ることはなかなか出来ない。これは山の頂上が貿易風逆転層のすぐ下にあり、急峻な崖が湿った空気を急速に上昇させるためだ。なかなか全貌を見せないことがまた、この山にさらなる神秘性と魅力を与えている。風向きによってはその全貌を見せてくれる日もあり、緑濃くうねりを見せる山肌と、屹立するその姿が、圧倒的な美しさで見る者の心を魅了する。

カウアイ島ワイアレアレ山の山頂付近
雲がかったワイアレアレ山の神秘的な風景。

ワイアレアレ(Waialeale)はハワイ語で、溢れ出る水、波打つ水と言う意味。これは山頂にある小さな湖に与えられた名前で、山全体を呼ぶのにもこの名前が使われている。山頂には小さなヘイアウがあり、古代ハワイのチーフたちが山岳巡礼に出かけたと言われている。ワイアレアレ山頂付近は、カウアイ島の中で最も神聖なる場所とされ、選ばれし者だけが近づくことを許されたそうだ。

また、山中には古代にできたクレーター(噴火口)があり、ヘイアウとともにハワイ文化においての聖地とされている。古代ハワイ人は標べのない山中を山頂まで辿る方法を確実に知っていたと言われ、太古の時代に設置された山頂のヘイアウ、湖などがその後に山頂を目指した者たちの手がかり、足がかりにされたと研究されている。ちなみに山頂の湖は山に流れる水を、西と東の二方角に分けて流すために古代に造られたものだ。

ワイアレアレの山頂までトレッキングで行きたいという声も多いが、現在はトレッキングで安全に行ける道はない。また、獣道状態の中、ジャングルを通っての登頂はむずかしく、そうとうなキケンも伴うので絶対にオススメしない。

古代ハワイでは、巡礼者たちはクレーターの北東側の尾根を伝って山頂に向かったと言われており、縄はしごなどを駆使して登頂したそうだ。ヘリコプターが飛ぶ前の1900年代初頭には、ワイアレアレの雨量計を確認するため、州職員はミュールに乗って古代の道を辿ったという。1970代にヘリコプター誘導にて登頂を試みたトレッカーが失敗に終わり、2006年に山頂を目指したトレッカーはヘリコプターにレスキューされて終わったという。それ以降に山頂を目指した人の記録はない。1902年に島の西側、アラカイ・スワンプからアプローチしたトレッカーが登頂を果たしたのがワイアレアレ山への最後の登山だと言われている。地滑りと手入れのされていないジャングルの樹木によって、山頂へのすべての道が、遮断状態となっている。

ちなみに山の雨量計測も、現在は山頂に設置された雨量計をヘリコプターで確認するという方法が取られている。年間降雨量の平均は、約450インチ(11,430ミリメートル)。過去の最大降雨記録は、1982年の638インチ(17,300ミリメートル)となっている。

Column旅のワンポイントガイド

現在、頂上へのアプローチとして人気があり、唯一の手段でもあるのがヘリコプター・ツアー。天候が許せば、山頂付近のクレーターの近くに低空飛行するなど、古代からの風景を空から楽しむことができる。「ジュラシック・パーク」「南太平洋」などをはじめ、多くのハリウッド映画やテレビの背景に、その美しい姿が使われている。

Blue Hall(ブルーホール)

ワイアレアレの東側にある渓谷がブルーホール。この名前は、渓谷全体を呼ぶ名前として使われる場合もあり、また、渓谷の底にある湖のみを指してブルーホールとしている場合もある。山頂直下にあたる位置に、約3,000フィートの高さの壁が渓谷のほぼ三面を囲むように立ち上がっている。この壁は「The Weeping Wall (むせぶ泣く壁)」と呼ばれ、一部では「Wailua Head Water(ワイルア・ヘッド・ウォーター)」とも呼ばれている。

「The Weeping Wall (むせぶ泣く壁)」の名前は、古代からの浸食の繰り返しでできた山肌の溝に沿って、幾十筋もの水が細い滝状に流れていることからつけられている。ブルーホールの写真を見たことがある人、トレッキングで行ったことがある人なら、むせび泣く壁の名前に深く納得することだろう。

また、ブルーホールは渓谷の中心部底にある湖、周辺を覆う大地、周囲に立ち上がる壁、すべてを覆う青緑の世界を現してつけられたものだそうだ。そこはブルーグリーンに囲まれた別世界。飲めるほどに清らかな滝の水と相まって、訪れるものに極上の癒しを与えてくれるに違いない。

Column旅のワンポイントガイド

ブルーホール近くまではトレッキングで行くことが可能。ただ、行程の半分以上がロック・ホッピング(岩を飛び歩く)になるようなハイコアのハイカー向け。トレッキングの経験値が問われるので、よほどの自信がない限りは地元ガイドにまずは問い合わせてみるのをオススメする。また、ヘリコプター・ツアーなどの遊覧飛行で空から見ることも可能だ。間違いなく、カウアイ島の自然の圧倒的な魅力を見せるスポットのひとつだろう。

Information

地図 MAP
住所 Mt. Waialeale Kauai County HI