カウアイ島の西海岸、ハナペペ川の河口にある小さな街が観光名所で人気のハナペペ・タウン Hanapēpē Townだ。辺り一帯、昔ながらのアンティーク調の建物が建ち並び、人々がお洒落なブティックやカフェをのんびりと行き交っている。数々のアートギャラリーが点在しており、芸術家が集まるエリアとしても有名だ。個性的でカウアイタッチなショップを散策するだけでもおもしろい街である。2002年、大ヒットを記録したディズニー映画「リロ・アンド・スティッチ」で描かれた街並みのモチーフになったことでも知られている。
赤土の断崖絶壁が続くハナペペ渓谷とハナペペ・タウンの歴史背景
ハナペペ渓谷には、1778年キャプテン・クックがワイメア湾に到着するずっと以前から「カナカ・マオリ」と呼ばれる人々が、渓谷の肥沃な土地にタロやバナナ、サトウキビ、サツマイモなどの農作物を育てながら暮らしていた。彼らはタヒチからハワイへ渡りハワイアン文化を形成した人々の子孫と言われている。また、ハナペペの海岸では独自の塩田業が行われ、ここで収穫されたハワイアン・ソルトを巡る交易は、後にハナペペ・タウンの重要な事業になっていたそうだ。今でも塩づくりの伝統は、それぞれの塩田を受け継いだ限られたファミリー達によって大切に守られている。
時代は変わりサトウキビ産業が盛んになると、中国、日本、フィリピンなどから多くの移民がカウアイ島にやって来た。カウアイ島のほとんど地域は、プランテーションによって繁栄し形成された町であるのに対し、ハナペペ・タウンは移民をはじめとする労働者によって築かれたユニークな町である。
このような背景のハナペペでは、過酷な労働に適応できなかった人々や退職した人々が中心となって、タロや米などの農業をするかたわら積極的に町づくりに貢献したそうだ。また当時は、労働組合を組織した人やストライキ運動に参加した人は、プランテーションが提供する社宅(キャンプ)には居住することができなかった。そのため、ハナペペ・タウンのようなプランテーションに含まれない地域に多くの人々が集まってきたと言われている。
ハナペペは、現在のような閑静で穏やかな街の雰囲気からは想像できない激しい労働組合運動が行われた場所であり、犠牲者を生むほどの惨事にも発展した地域だった。プランテーションや港で働く労働者の権利は、このような先駆者達の犠牲や戦いによって確立していったと言われている。以来、ハナペペ・タウンは、カウアイ島で最大の自治区として一時代を築いた。繁栄当時のハナペペ・タウンは、映画館をはじめ生活に必要な様々な店が建ち並び、人々の活気に溢れていた。時代と共に店の数や種類も変わってしまったが、昔ながらのハナペペ・タウンの心意気は、今でも金曜日に開催されるアート・ナイトなどで垣間みることができる。
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ColumnHanapepeの名前の由来
- 諸説1.「砕かれた湾」を意味するハワイ語 Hana-pēpē(ハナペペ)
昔、深い渓谷に流れるハナペペ川の河口あたりで、切り立った赤土の崖が崩れたことによって「ハナペペ=砕かれた湾」と呼ばれるようになった。 - 諸説2.Hana-pēpēの語源である「殺戮の湾」を意味する Hana-pēpēhi(ハナペペヒ)
カメハメハ大王がカウアイ島を制覇し、カウアイ最後の王であったカウムアリイが亡くなった当時、カウムアリイ王を支持する首領たちはハナペペの東側でカメハメハ軍と激しい戦いを繰り広げたがことごとく滅ぼされた。この戦の地を「ハナペペヒ=殺戮の湾」と呼ばれたことから由来している。
Information
地図 | MAP |
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住所 | Hanapepe HI 96716 |