ワイルアはカパアの町の入り口。Makai (海側)はリッドゲート州立公園から、Mauka (山側)はワイアレアレ山の麓までが、ワイルア州立公園として指定されている。州立公園内のMakai (海側)は、大航海時代、古代ポリネシア人が双胴船カヌーで最初にハワイに辿り着いた場所と言われている。それ故に、州立公園一帯は、ハワイ人にとって、文化発祥の地。またフラ発祥の地とも言われる。世界最大の降雨量を誇るワイアレアレとそれに連なるカヴァイキニ。2つの聖なる山を源流とする2つの川が1つとなっているのがワイルア川。カウアイ島で一番長く、ハワイ全諸島でも最大級の広さを持つ。このワイルア川を中心として、数々のヘイアウが点在し、多くの伝説が語り継がれる一帯でもある。古代ハワイでは、肥沃な農場と、カヌーの発着場として栄え、豊穣な漁場でもあったMakai (海側)に、アリイ、カフナなど高貴な身分の人々が住み、政治、宗教などの中心地となった。また平民は、ワイルア川上流地域でタロイモを耕しながら暮らしていた。ワイルアの名前の由来には諸説があるが、その一つに「古代のさまざまなイモ」というものがある。これは、平民たちが耕していたさまざまなタロイモの種類にちなんでいたのかもしれない。
州立公園の真ん中をワイルア川に沿って貫くようにのびる「クアモオ・ロード」は、その昔は「アリイ・ロード(王者の道)」と呼ばれ、身分の高い人のみ通ることができた。それ故に、このクアモオ・ロード沿いには、ヘイアウがたくさん点在する。現代でもカフナなどがカウアイ島を訪れる際には、これらのヘイアウに寄り、島へ入るの許しを乞うチャンティングを捧げる姿を見る機会がある。また州立公園一帯はハワイ全島の中でも、最大級規模のアフプアアのひとつだったとされている。
現在でも多くのヘイアウの跡地を訪れることができ、カウアイ島だけではなく、ハワイ、ポリネシアの文化や歴史に触れるには最適なエリアである。ちなみに、火の女神ペレの妹ヒイアカが、姉ペレの命令で恋人のロヒアウを探しにカウアイ島に来た際に旅を始めたのも、この場所。フラにとってもゆかりの深い地域となっている。現在でも、多くのハワイアン・カルチャーを学ぶ人がこの地を訪れ、踊りを奉納したり、チャンティング(詠唱)を捧げる場所になっている。
-
Column旅のワンポイントガイド
-
観光地として人気の高い、ワイルア・フォールやシダの洞窟などもこの地域に含まれる。また広い川幅を誇る河口域では、ローカルのカヌークラブがパドリングの練習をしていたり、ツーリストがカヌーを漕ぐなど、ウォータースポーツが盛んな場所にもなっている。豊富な雨と濃い緑、その真ん中をゆったりと流れる川。ワイルア州立公園エリアは、まさに古代と現代のハワイをつなぐ役割りを持ち、島人や島を訪れる人に多くの恩恵を与え続けてくれる。古代と現代のハワイ文化の融合に触れに、ぜひ訪れてみたい場所のひとつだ。
Information
地図 | MAP |
---|---|
住所 | Wailua River State Park, Kapaa, HI 96746(リフエ空港から約10㎞、車で約15分) |
参考 | 入場規制なし |